遺 言

 Q&A 遺 言 について分かりやすく、ポイントをおさえて解説します。


【問】 公正証書遺言のメリット、デメリットはなんですか?

【答】 遺言書を残そうとする方が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成する方式だよ。

メリットは専門家である公証人が関与、方式不備による事後的紛争を回避できる。遺言書は、公証役場に保管されるので、偽造、変造の危険が少ない。また、家庭裁判所での検認・手続きを取らずに遺言内容の実現をすることが出来ることが利点かな。デメリットとしては、遺言書作成の費用がかかることといわれている。遺言の存在と内容が外部に明らかになることもかな。

 

【問】 自筆証書遺言を法務局に預けることができるってホントなの?

【答】 平成30年、遺言書保管法といって新しい法律ができたんだ。これまでは、亡くなったあとに、遺言は見つからず存在しないものとして進められた遺産分割協議が、あとで発見されたりしてやり直しとなることもあった。今年の7月10日から施行となるので、細かい手続きは今後発表されるね。

とりあえず分かっているのは、自筆証書遺言を作成した本人が法務局に行って無封の遺言書を提出し、日付、署名押印など形式要件が審査されることになっている。遺言書は、原本を法務局の施設内に保管され、その遺言書にかかる情報が磁気デスク等に画像情報化して管理することになっている。遺言者が亡くなった後に、法務局へ出向いて相続人等は遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面(遺言書情報証明書)の交付を請求することができることになっているよ。

 

【問】 成年被後見人の方が作成した遺言書の効力はどうなります?

【答】 後見開始の審判が始まった成年被後見人は遺言書を作成することができるか、ということだね。一般に事理を弁識する能力に欠けるので、難しいのではと思われがちだが、民法では一時回復したとき、医師二人以上が立ち会ってすれば出来ると、定めているよ(973条)。その時医師は事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記することが必要と規定しているね。

認知症の場合はどうなんだ、ということになるがブログにまとめているので参考になるかも。2025年には高齢者の5人に一人が認知症になると言われているので、こちらも知っておきたい。認知症といっても様々な症状が現れるので、遺言を作成する意思能力はどうかという判断になるようだ。症状の進み具合によっては意思能力がないとなれば、その遺言は無効になるので慎重な取り扱いが求められると言われているよ。

 

【問】 遺言の撤回は自由にできるの?

【答】 遺言者がその後気持ちが変わったとか、遺言を差し替えしたいとかはありうることだ。民法は遺言撤回の自由を定め、「いつでも、遺言の方式に従って、撤回することができる」(1022条)と定めている。それから、「前の遺言と後の遺言とが抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言で撤回したものとみなす」(1023条)という規定もあるんだ。

 

【問】 遺言の検認手続って難しいんですか。遺言書を開封したらどうなるのですか?

【答】 検認手続とは、家庭裁判所において、遺言書を提出して、遺言の方式に関する事実を調査して遺言書の状態を確定しその現状を明確にするものと言われている。検認は公正証書遺言以外の場合に行うものだが、遺言書保管法によって自筆証書遺言を法務局で保管している場合は検認が必要なくなる。検認手続の一環として、家庭裁判所で遺言書の開封が予定されている。この場合、相続人またはその代理人の立ち会いが必要とされている。なお、家庭裁判所以外で開封した時は、5万円以下の過料に処されるので注意しないいとね。

 

【問】 遺言を執行するとは?

【答】 遺言者は遺言で遺言執行者を指定することができるんだ。この遺言執行者は「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する(1012条)と定められているよ。相続財産の目録を作成し、これを相続人に交付する義務が発生し、遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に効力が生じる。遺言執行者の報酬を遺言で定めることもできるし、遺言の執行に要する費用は、相続財産の負担となっている。

 

【問】 最後に、行政書士に依頼するとどんないい点があるの?

 

【答】 行政書士は、遺言の作成にあたっては自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらも支援することができる。自筆証書遺言の場合は、全文、日付、氏名をすべて自分で書かないといけないので、方式が厳格だ。この方式に従わない不備があった時は無効になることもあるんだ。遺言の作成ルールに詳しい行政書士に依頼すると間違いが生じないし、なにより安心できるよ。また、公正証書遺言は公証人の面前で公証人に作成していただくが、この前にあらかじめ相続人や相続財産等をしっかりと調査し、ご依頼者のお話を聞きながら遺言書の案文を作成することになる。できたものは公証人に内容をチェックしていただくので、手間をかけずにでき上がるという利点があるよ。ぜひ相談してほしいね。