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遺言公正証書はこんな方に

本屋大賞を受賞された「カフネ」(講談社)の著者阿部暁子さんは地元花巻の出身です。本の中で主人公薫子の弟春彦が29歳の若さで亡くなるのですが、生前遺言書を作成していました。遺言者はどちらかというと高齢者というイメージですが、不確実な時代の今、早めに「自分の想いをしっかりと形に残しておく」ことの大切さを知っていたのかもしれません。
お子様のいないご夫婦
夫婦のどちらかが亡くなった場合、子どもがいないと故人の兄弟姉妹が相続人となります。
また、兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子ども(甥・姪)が代襲相続することも。
兄弟姉妹との交流が少ない場合や、意図しない相続トラブルを避けたい場合は、あらかじめ遺言で意思を明確にしておくことが安心につながります。
将来の認知症リスクに備えて
2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると言われています。
認知症を発症すると、遺言を有効に作成するための「意思能力」が問われ、手遅れになることも。
しっかりと判断ができるうちに、自分の想いを形にしておくことが重要です。
長男の嫁にも感謝を形にしたい
法律上、長男の嫁には相続権がありません。
しかし、普段から介護や生活面で支えてくれる嫁に対して、感謝の気持ちを形にしたいと考える方も少なくありません。
遺言書を作成することで、希望に沿った財産の分配が可能になります。
相続人が多く、意見がまとまらない
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。
人数が多くなると、意見の対立や話し合いの長期化、最悪の場合は家庭裁判所での調停に発展することも。
遺言で財産分配の方針を定めておくことで、相続手続きがスムーズになり、家族間のトラブルを防ぐことができます。
大切な団体・施設へ寄付をしたい
生前お世話になった寺院、福祉団体、教育機関などに財産を寄付したい場合は、遺言による「遺贈」の手続きが必要です。
寄付を希望する場合は、事前に受け入れ可能かどうか、また、必要な手続きについて確認しておくと安心です。
このように、遺言公正証書はさまざまな場面で役立ちます。
ご自身の想いを大切にし、家族や大切な人たちへの負担を減らすためにも、早めに準備をしてみてはいかがでしょうか。