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老人会で話す相続のこと(Ⅱ)


総務省が発表した日本の総人口は1億2千494万人余り、前年から12年連続の減少となっています。年齢別では65歳以上の割合が29.0%で過去最高、15歳未満は11.6%で最低と一段と高齢化が進んでいます。

地域には老人会(クラブ)があります。もし老人会でお話しするととしたら、次の5点についてお話したいと思います。

 

1 1丁目1番地の自分を知ろう

ある程度の年齢を迎えると自分が亡くなった後、住んでいる家、土地、財産はどうなるだろう、と考えます。いわゆる終活です。残された家族に迷惑をかけることは避けなければなりません。

そのためには、自分の置かれた位置を知っておきたいです。財産は必ずしもプラスの財産ばかりではありません。できるだけ身軽にすることが大切です。終活ノートは市販されたり行政で無料で配布したりしていますので、これを利用することも大切です。

 

2 相続人一覧や財産目録を作ってみる

取り敢えずメモ用紙があればご自身で相続人は誰になるか、また土地や自宅などの不動産、預金通帳などを調べ財産目録を作成することができます。始めの一歩はノートの切れ端で十分です。これに書き留めることが大事なのです。不動産は固定資産税の課税明細書を添付することでも良いです。プラスだけでなく借金もあるかもしれません。契約書や借用書なども確認することが大切です。

見落としがちなのが生命保険や投資信託、株式などの金融商品です。忘れずにメモしよう。

 

3 公正証書遺言と自筆証書遺言

遺言書の作成には公正証書遺言と自筆証書遺言があります。

前者は公証人がしっかり法的に間違いないかをチェックされきます。手数料が負担となりますが、間違いのない最善な方法です。後者は自分で手書きで遺言書を作成するものです。法務局に預けることができる制度ができましたので決められたルールによって作成します。費用は3900円です。

 

4 相続した土地は登記が義務となる

令和6年4月から相続した土地は登記が義務化となります。これを怠ると10万円以下の過料に処せられる可能性があります。手始めに土地家屋が現在どなたの名義になっているか確認しましょう。数代にわたって登記がなされていないと相続人が予想以上の数になることがあります。ご相談を受けた長期未登記土地に関し相続人が50名を超えた例がありました。

 

5 相続した土地を国家に帰属させる

令和6年4月27日から相続土地国家帰属制度が始まります。

相続したけれど遠くに住んで管理できない、周りの家に迷惑をかけているなど土地の管理が難しいことなどを理由に手放すことを考えている方が多くなっています。

先祖代々相続した土地を自分の代で失くすことは忍び難いと考える方もおられるでしょう。しかしながらせっかくこのような制度ができたので国に帰属させることも一考です。手続きがありますので、行政書士、司法書士等に相談されることをおすすめです。

 

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