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雄星ノートと士業


目標管理を士業に生かす姿勢
雄星ノート(文藝春秋刊)

メジャーリーグで活躍する菊池雄星くんは今季7勝6敗、防御率3.73と好調を維持しています。奪三振数135、登板21試合、一試合平均6.4個を奪っていますので安定感がみられます。

最近「雄星ノート」(2019年、文藝春秋刊)を読んでみました。その感想を記してみます。

●どんな本か

一口に言うとメジャーリーグ入団までの努力の軌跡です。花巻東高校から埼玉西武ライオンズを経てシアトル・マリナーズに入団となりますが、ここに至るまで彼は毎日、寝る前に日記を書く習慣があります。その日の出来事、反省、どう生かすか、感謝の言葉も書き綴っています。14年間の野球ノートと言えます。ある時「落ち込んだとき、フタをしない。課題をノートに書く。僕はそれができるようになって変わったんです。」と記しています。

●目標管理「マンダラチャート」

この本の前半部分は雄星くん自身のナマの字が写真で掲載されています。たしか、左利きなので左手で書いていたと思いますが、整ったきれいな字体です。高校2年の冬に書いたマンダラチャートがあります。9マスに目標、そのためになにを為すべきかなど一マスを埋めていき最終的に81のマスが出来上がっています。その一番の中心マスには「高卒でドジャース入団」と書かれています。残念ながら高卒ではなかったし、ドジャースでもなかったのですが、大目標であるメジャー入団は達成されました。マンダラチャートは佐々木監督の指導とか、監督は常に言語化を求めていたとお聞きします。言語にすることによって各選手は目標の明確化がなされるのだと思います。感心するのは82マス全て一つとして同じ言語はありません。

●名言をメモする

雄星くんは大変な読書家であることは多くの方に知られているところです。岩手読書感想コンクールにも雄星文化プロジェクトとして協力し特別賞も設けられています。「雄星ノート」には名言集が掲載されています。読まれた本の中から心に響くものをメモしたものと思われます。中には彼自身の体験から生み出された言葉もあるかもしれません。一端を紹介します。

・成功も失敗も「積み重ね」で決まる

・安定と停滞は別物。動きの中でこそ本当の安定が生まれる

・1,000人、知っているやつがいて、100人、行動するやつがいて、1人、行動し続けるやつがいる

・良いことばかりが続くわけではない。全てが貴重な学びとなる

・夢中は努力に勝る

その他にも成るほどと思わせる名言がたくさんあります。これはビジネスにも通じるところがあります。彼には「継続する」ことの大切さを強調されているように思います。

●士業に生かす

メジャーリーグという高みを目標に努力という文字では表現できないほど進歩を重ね、幾多の困難にも出会ったことでしょう。14年間プラス現在も日記を書き続けメジャーのマウンドに立っている姿は本当に偉いです。士業に生かす、なんて次元が違います。それでも日々振り返り、明日に生かす姿勢は相通じるものがあるのかもしれません。