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相続した不動産は登記義務になる?


イラストやさん
登記完了書

土地一筆ごとの所有者が不明の土地は全国の2割に上り、今後増えることが見込まれている(朝日新聞。2月11日付け)。東日本大震災の復興工事において見られたように所有者が分からず工事の進展に支障をきたした例が問題となりました。

国では法制審議会に諮問し法整備を検討してきました。その結果、民法及び不動産登記法の改正案を現在開かれている国会に提案するべく準備が進められています。

 

法案の成立によってどう変わるのでしょうか。ポイントは3つあります。

1 登記の名義人が死亡した場合、登記の申請が義務となります

 相続の開始があったことを知った日から3年以内に行うこととされ、これを怠ると10万円以下の過料に処せられます。

2 登記名義人が氏名及び住所が変更となった場合の更新を図る仕組み

 婚姻や所有者が転居等により氏名及び住所が変更する場合も2年以内に登記の申請が義務付けされます。これに反する場合は罰則として5万円以下の過料が処せられます。同時に法務局においても変更情報が不動産登記に反映されるための仕組みも併せて構築されます。

3 土地所有権の国庫への帰属の承認等に関する制度が創設されます

 望まない相続も発生するため、相続人が取得した土地を手放せる制度が創設されます。細かい条件があります。例えば、土壌汚染がないこと、担保が設定されていないことなどの要件を満たす必要があります。また、10年分の管理費相当額を納付して、国庫に帰属させることも可能になります。

 

登記に関する事務は司法書士の専権事項です。行政書士としては、登記に先立ち被相続人調査や相続財産の確定、遺産分割協議書の作成などの業務を受任することができます。当法案の成立によって、いっそう登記申請にあてっての前提業務が大切になると思われます。