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宮沢賢治記念館特別展


配布パンフレット
特別展なめとこ山の熊

童話「なめとこ山の熊」特別展が宮沢賢治記念館で開催されていたので見学しました。

詩人宮沢賢治が昭和2年頃に書かれたものと言われています。童話の舞台なめとこ山は現存する山で、標高は860メートルの小高い山、古くからの絵図に明確に表示されています。

物語は、猟師の小十郎が主人公です。本当は熊を取りたくないのですが、生活のため毛皮と肝を売りながら生計を立ています。ある日、銃を撃ち損ない熊に殺されてしまいます。人間社会と自然界を生きる小十郎の姿を描いた童話です。

賢治はこの童話で何を伝えたくて書かれたのでしょうか。昭和の初期は人々にとって貧しい生活にあったことが想像されます。生きるために狩猟し毛皮等を売って生活の糧にしていたのですが、自然界に住む熊もまた彼らなりの生活があったのでしょう。小十郎は銃をかまえるにも、その瞬間は感謝と尊厳の気持ちを持って対応されたのだと思います。動物に対するいたわりと自然界の厳しさ、狩猟で生きる姿を描きたかったのかも知れません。

特別展は藁半紙に鉛筆で書かれた自筆原稿が展示されています。時の経過とともに自筆原稿は劣化していきますが、保存の努力もされていることが会場の一角に表示されています。