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認知症になると


厚生労働省の推計によると、高齢者に占める認知症の数は2025年には約700万人(5人に1人)にのぼると言われています。この認知症の正体は何なのか、最近本を読んでみました。

 

「ボクはやっと認知症のことがわかった」(長谷川和夫著)と「認知症の「困った」を解決」(佐藤眞一監修)の2冊です。前書は、認知症の専門医が自ら発症されたのですが、現役の時「長谷川式スケール」と呼ばれる認知症の簡易なツール(診断)を開発された方です。後書は、認知症のタイプを詳しく解説され、それがどのように症状として現れ、どう対応するか分かりやすく記述されています。

 

これら本を読むきっかけは、認知症は遺言の作成能力として大きな影響を与えるからです。認知症を患い成年被後見人となっている方でも、事理を弁識する能力を一時回復した時において、医師二人以上の立ち会いがある遺言の作成は有効とされています(民法973条)。実務上は、診断書も取られ保管されているようです。後に争いとなった場合を想定されているのでしょう。

 

今後増加する認知症と遺言等の作成については機微な問題を含んでおり、慎重な対応が求められていることは間違いないと思います。