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改正法による遺留分侵害額請求


高校野球は花巻東高校の優勝で幕を閉じましたが、大船渡高校佐々木朗希投手の起用については様々な意見が出されたようです。花巻東高校の甲子園での活躍を祈念したいと思います。

 

タイトルに改正法とありますが、これは民法の改正で遺留分についても変更がありました。

 

●遺留分とは

 そもそも「遺留分」とは兄弟姉妹以外の相続人には遺言によっても影響を受けない、民法1042条の規定により最低限の相続できる割合が定められていることをいいます。

 最低限の保障とはなんでしょうか。相続によって相続人は多少の金銭的な期待はお持ちのことでしょう。直系尊属だけが相続人の場合は相続財産の3分の1、それ以外の場合は相続財産の2分の1と規定されています。遺留分権利者が複数いる場合は、法定相続分に基づく各人の遺留分(具体的遺留分)を決められることになっています。

●遺留分が侵害されたら

自らの最低限の保証がないときは、訴えを提起することもあるでしょう。

改正では、①遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求に名称変更されました。②侵害額請求ということから金銭によって解決を図ろうとしました。

 事例で考えると分かりやすいと思います。夫Aが死亡しAには妻Bと子Cがいた場合、Aの財産が建物(2,000万円相当)だけがある時、遺言によりCに相続させた時、Bが受け取ることができたはずである建物2分の1の持ち分を遺言によって侵害されたとみることができます。改正前は建物の共有関係に入ることが強制されましたが、改正後は遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できるとするものです。

 

不動産が共有関係になると権利関係が複雑になること、事業を承継する場合もスムーズに承継できるなどから改正されたものです。